ソラマメ

多剤耐性菌の予防法 by 呼吸器外科医

ほぼ全ての抗菌薬が聞かない多剤耐性緑膿菌(MDRP)や多剤耐性アシネトバクターによる院内感染が近年問題になっており、大学病院が対応に苦慮しています。海外から入ってきた新たな菌も登場しています。予防法をちょっと調べてみました。

多剤耐性菌の予防法 by 呼吸器外科医

まず第一に、抗菌薬の使用法を適正にすること、そして手洗いを中心とした「標準予防策」を徹底すること。基本的な対策ですが、これだけで院内感染の多くが予防できることは実証済みです。感染経路は病原体ごとに、手や物につく接触感染、咳やくしゃみによる飛沫感染、空気中を浮遊する飛沫核感染などがあります。飛沫核で感染する結核など特別な対処が必要なものもありますが、最も多いのは接触感染だからです。

別の部位、別の患者に触れる前に必ず、手洗いや手指の消毒を行い、血液や尿などを扱うときは使い捨ての手袋、ガウン、マスクを着用します。医療器具の滅菌、施設内の消毒、廃棄物の管理も大切です。院内の状況を常に監視し、院内感染の疑いを早期に発見して対処します。

厚生労働省や日本感染症学界などの関連学会は、対策マニュアルの作成、発生動向調査、感染管理専門の医師や看護師らの養成をしています。入院設備のある施設は2007年度から対策委員会の設置が医療法施行規則で義務付けられました。ただし、感染症法で定められた一部の病原体をのぞいて保健所への報告義務はなく、施設の判断にゆだねられています。


Posted by crystalboy at 21:02