ソラマメ

  

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外科医の手技で差が出る脳動脈瘤の手術成績

脳ドックなどで見つかる未破裂の脳動脈瘤は、無症状である場合がほとんどですが、破裂すれば、くも膜下出血が生じるため、外科的手術もしくは血管内治療が求められるケースがあります。ただし、経験が不十分で患者が亡くなったケースもあり、脳神経外科の医師が得意とする治療法を知り、十分な経験を積んだ病院を選ぶ必要があります。

未破裂脳動脈瘤の治療は、頭部を切開してクリップと呼ばれる特殊な器具で瘤の根元などを挟んで破れないようにするクリッピング術と、足の付け根からカテーテルを入れて、瘤の内部にコイルをつめる血管内治療の二種類から選びます。

クリッピング術を年間100例以上、血管内治療を50例以上行っているのは、愛知県の藤田保健衛生大学病院、大阪府の国立循環器病センター、福岡市の国立病院帰国吸収医療センターなどの数施設に限られており、いずれも高い治療成績をあげています。

一方、どちらかの治療に特化している施設もあります。全国から脳疾患の患者が受けいれているNTT東日本関東病院は3年間で116人の患者にクリッピング術を行いましたが、血管内治療の方はゼロとなっています。脳神経外科部長の森田氏は、両方とも有効な治療法だが、特異な方法を数多く行うほう外資の技量が上がると説明しています。

  


Posted by crystalboy at 14:08

疲弊する救急医療の現場

万が一大きなケガを負って、早急な対応が必要な場合、救急の医療体制が重要ですが。近年は受け入れ先がなかなか見つからず、救急車の中で患者が亡くなってしまうケースも出ています。総務省消防庁の「救急搬送における医療機関の受け入れ状況等の実態調査」によれば、2009年に救急車で搬送された約41万人のうち、4回以上医療機関に照会されたケースが約3.2%もありました。11回以上照会したケースも677件あり、その多くが東京、埼玉、大阪、奈良に集中していました。

患者の安易な救急利用の増加、高齢者の増加による救急患者の増加、救急を担う医療機関の減少、患者の大病院思考、救急医療期間の疲弊などが、機能低下の原因といわれています。

軽症の患者が救急を利用する問題については、最高1万円程度の時間外選定療養費を要求する病院も出てきました。また、高齢者については、療養病床の削減によって救急病院を退院した後の受け入れ先が見つからないことが、救急の受け入れを躊躇する要因の一つです。

救急告知病院も減少しており、残った医療機関に患者が集中し、医師の労働環境が悪化しています。この事態が長引けば、医師の辞職が相次ぎ、残されたスタッフの負担がさらに増えて、益々労働環境が悪化するという悪循環に陥ります。緊急の手術や診断ミスに関する医療訴訟件数が増加し、医師が救急などのリスクが高い診療科を避けるようになったことも、医師不足の原因の一因となっています。

  


Posted by crystalboy at 15:15

多剤耐性菌の予防法 by 呼吸器外科医

ほぼ全ての抗菌薬が聞かない多剤耐性緑膿菌(MDRP)や多剤耐性アシネトバクターによる院内感染が近年問題になっており、大学病院が対応に苦慮しています。海外から入ってきた新たな菌も登場しています。予防法をちょっと調べてみました。

まず第一に、抗菌薬の使用法を適正にすること、そして手洗いを中心とした「標準予防策」を徹底すること。基本的な対策ですが、これだけで院内感染の多くが予防できることは実証済みです。感染経路は病原体ごとに、手や物につく接触感染、咳やくしゃみによる飛沫感染、空気中を浮遊する飛沫核感染などがあります。飛沫核で感染する結核など特別な対処が必要なものもありますが、最も多いのは接触感染だからです。

別の部位、別の患者に触れる前に必ず、手洗いや手指の消毒を行い、血液や尿などを扱うときは使い捨ての手袋、ガウン、マスクを着用します。医療器具の滅菌、施設内の消毒、廃棄物の管理も大切です。院内の状況を常に監視し、院内感染の疑いを早期に発見して対処します。

厚生労働省や日本感染症学界などの関連学会は、対策マニュアルの作成、発生動向調査、感染管理専門の医師や看護師らの養成をしています。入院設備のある施設は2007年度から対策委員会の設置が医療法施行規則で義務付けられました。ただし、感染症法で定められた一部の病原体をのぞいて保健所への報告義務はなく、施設の判断にゆだねられています。

  


Posted by crystalboy at 21:02

SLを使ったインペリアル・カレッジ・ロンドン医学部の試み

胸の痛みを訴えて病院を訪れた患者の症状を聞き、放射線技師に胸部レントゲンの準備を指示し、同僚の医師と疑われる病気はなんであるかを話し合う-。これは現実の病院での話ではなく、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンで導入されているセカンドライフを使ったインタラクティブな実習プログラムの様子です。将来の医師の卵である医学部の3年生は、通常の講義や教科書からの学習に加えて、2009年からこの全く新しいプログラムに参加しています。

授業は大学内にあるコンピュータールームからシンボルのクイーンズタワーも忠実に3Dで再現されたセカンドライフの世界へ入っていきます。医学生は二人一組のペアで行動しますが、相談したりできるのはあくまでもセカンドライフ上のみで、実際に話をすることは許されていません。

呼吸器病棟へと案内された学生は受付をすませてから、教授のオフィスでどの患者を担当するか指示されます。患者を診察する前には、現実と同様にキチンと手を洗うことも義務付けられており、ここでミスをした生徒は減点となります。患者がこれまでにかかった病気、アレルギー、薬への副作用等の既往歴は全てカルテにまとめられており、患者の話を聞いて改めて胸部エックス線撮影やCTが必要と判断した場合には、放射線科に指示を行います。

多くの生徒はセカンドライフを知っているものの、このプログラムに参加するまではメンバーとなったことはなかったため、全くの初心者でした。実際の病棟を訪れて患者を診るに越したことはないが、医学生としての最初の2年間はひたすら本と講義による勉強だったので、ヴァーチャルの世界とはいえ新鮮で実際の診察にも役に立つ、24時間いつでも勉強することができると評判はいいようです。

セカンドライフを使った教育プログラムを推進している同大学では、同じ英語圏の看護師や病院薬剤師などの職種が共同で参加できるコースを作りたいとしています。

  


Posted by crystalboy at 10:55

SLで看護師を指導:医療技術の向上を目指す英国の大学

昨年の話になりますが、医師を対象とした医学ニュースを読んでいたところ面白い記事を発見しました。スコットランドのグラスゴーカレドニアン大学では、看護師を目指す学生を対象としたバーチャル講義をセカンドライフ上で開講しているようです。その名も「ナースアイランド」。日本だとパソコンのゲームを連想してしまいそうですが…(笑)。

この大学はセカンドライフに早くから力を入れているようで、この企画を立ち上げる前には、バーチャル上でキャンパスを完全再現し、受験生に講義などを模擬体験できるようにしていたとのこと。上のユーチューブ動画は、看護師を目指す学生が参加している実際のものです。

ウェブ上で看護の知識や技術などを学ぶ利点は、一人で自宅でテキストを使って勉強するのと違い、実際の講義と同様に双方向のコミュニケーションが成立する、また実際の病室に模したスペースには患者がいるため、実際に会話を交わして、その患者の病態はどうなのかを判断する力も養うことができるという点でしょうか。

日本国内ではセカンドライフではありませんが、出産や育児などのブランクから看護師 復職を希望する方を対象としたe-ラーニング形式の講義が、旭川医科大学や東大病院などで実施されています。医療の分野は技術が年々高度化、複雑化していますので、文字だけで解説するよりも、インターネットの動画を上手く活用していくのがポイントだと思います。

  


Posted by crystalboy at 12:12