ソラマメ

SLを使ったインペリアル・カレッジ・ロンドン医学部の試み

胸の痛みを訴えて病院を訪れた患者の症状を聞き、放射線技師に胸部レントゲンの準備を指示し、同僚の医師と疑われる病気はなんであるかを話し合う-。これは現実の病院での話ではなく、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンで導入されているセカンドライフを使ったインタラクティブな実習プログラムの様子です。将来の医師の卵である医学部の3年生は、通常の講義や教科書からの学習に加えて、2009年からこの全く新しいプログラムに参加しています。

SLを使ったインペリアル・カレッジ・ロンドン医学部の試み

授業は大学内にあるコンピュータールームからシンボルのクイーンズタワーも忠実に3Dで再現されたセカンドライフの世界へ入っていきます。医学生は二人一組のペアで行動しますが、相談したりできるのはあくまでもセカンドライフ上のみで、実際に話をすることは許されていません。

呼吸器病棟へと案内された学生は受付をすませてから、教授のオフィスでどの患者を担当するか指示されます。患者を診察する前には、現実と同様にキチンと手を洗うことも義務付けられており、ここでミスをした生徒は減点となります。患者がこれまでにかかった病気、アレルギー、薬への副作用等の既往歴は全てカルテにまとめられており、患者の話を聞いて改めて胸部エックス線撮影やCTが必要と判断した場合には、放射線科に指示を行います。

多くの生徒はセカンドライフを知っているものの、このプログラムに参加するまではメンバーとなったことはなかったため、全くの初心者でした。実際の病棟を訪れて患者を診るに越したことはないが、医学生としての最初の2年間はひたすら本と講義による勉強だったので、ヴァーチャルの世界とはいえ新鮮で実際の診察にも役に立つ、24時間いつでも勉強することができると評判はいいようです。

セカンドライフを使った教育プログラムを推進している同大学では、同じ英語圏の看護師や病院薬剤師などの職種が共同で参加できるコースを作りたいとしています。


Posted by crystalboy at 10:55